非居住者による本邦の不動産等取得に係る報告について

不動産登記

本コラム執筆時点では、令和7年夏の参議院議員選挙が間近に迫っています。今回の選挙では、外国人による不動産購入に関する規制強化も、ひとつの争点となっています。

現在、外国人による不動産取得については、特段の厳しい規制は設けられていません。しかし実は、非居住者による不動産の取得については、財務大臣への報告義務が既に法律上定められています。

今回は、外国人の方が日本国内で不動産を取得する際に必要となるこの「財務大臣への報告」について、司法書士の視点から解説いたします。

外為法による報告義務

外国為替、外国貿易その他の対外取引については、「外国為替及び外国貿易法(外為法)」により、事前届出や事後報告の義務が課せられています。

この外為法の規定により、「非居住者(本邦内に住所又は居所を有する自然人及び本邦内に主たる事務所を有する法人以外の者)」が、本邦にある不動産又はこれに関する権利(賃借権等)を取得した場合には、当該非居住者は、「本邦にある不動産又はこれに関する権利の取得に関する報告書」を取得後 20 日以内に、日本銀行を経由して財務大臣に提出する必要があります(外為法55条の3Ⅰ⑫、外国為替令18条の5、外国為替の取引等の報告に関する省令12条)。

この規定による報告をせず、又は虚偽の報告をしたときは、六月以下の拘禁刑又は五十万円以下の罰金に処されることがあります(外為法71条③)。

報告が不要なケース

本報告書は、いわゆる投資目的で取得した場合に提出する必要があり、以下のいずれかに該当する場合には、提出が不要です。

  1. 非居住者本人又は当該非居住者の親族若しくは使用人その他の従業員の居住用目的で取得したもの(別荘やセカンドハウスは、「居住用目的」には該当しないため、本報告の提出が必要です)
  2. 本邦において非営利目的の業務を行う非居住者が、当該業務遂行のために取得したもの
  3. 非居住者本人の事務所用として取得したもの
  4. 他の非居住者から取得したもの

司法書士からのアドバイス

上記報告については、居住者である代理人による作成・提出や、オンラインでの提出も可能です。

日本国外にお住まいの方で、日本国内の不動産を投資目的で取得されるご予定のある方は、ぜひお気軽に当事務所までご相談ください。報告義務の有無や、具体的な手続きについて丁寧にご案内いたします。

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