近年、「終活」の一環として遺言書を作成される方が増えています。
しかしながら、遺言書は法律で厳格な要件が定められており、書き方や記載内容によっては、せっかく作成してもその効果が十分に発揮されないことがあります。
今回は、リゾート会員権に焦点を当て、遺言書を作成する際の注意点について、司法書士の視点から解説します。
リゾート会員権とは
リリゾート会員権とは、会員とそのゲストが、リゾートホテルやその付帯施設を利用できる権利のことを指します。
自身で施設を管理する必要がない点や、全国各地の施設を利用できる点など、固定資産としての別荘よりも魅力的に感じる方も多い制度です。
契約の内容によって異なる場合もありますが、基本的にはリゾート会員権も相続の対象となります。遺言書によって、誰に承継させるかを指定することも可能です。
ただし、リゾート会員権には大きく分けて、次の2つのタイプがあります。
① 共有型
「共有型」は、ホテルの土地や建物を会員間で共有する制度です。
実際に不動産登記を行うことで、資産としての不動産を保有することができます。
購入時には、土地や建物の代金に加え、登記費用や売買手数料が必要となり、保有中は固定資産税の支払い義務も生じます。
② 預託金型
「預託金型」は、共有型と異なり、不動産の所有権を持たず、施設の利用権のみを得る仕組みです。
所有権がないことから「非所有型」とも呼ばれます。
不動産登記における遺言書の要件
共有型リゾート会員権は不動産として登記されているため、相続時には不動産の名義変更(相続登記)が必要になります。
この際、遺言書で誰に承継させるかを指定していても、「不動産の特定」が不十分だと、登記手続きに支障が出る可能性があります。
たとえば、
「〇〇リゾートホテルの会員権は長男Aに相続させる」とだけ記載されている場合、登記官は対象となる不動産を特定できません。
その結果、遺言書に加え、相続人全員の同意書や印鑑証明書の提出が必要になる場合があります。
万が一、相続人の中に手続きに協力してくれない方がいた場合、手続きが進まず、遺言書の効果が限定されてしまうおそれがあります。
相続財産にリゾート会員権が含まれる場合の注意点
遺言書を作成する際、相続財産にリゾート会員権が含まれている場合には、以下のような対応が重要です。
- 公正証書遺言での作成を検討する
- 会員権契約の内容を詳細に確認する
- 不動産の地番・家屋番号などを調べて特定する(名寄帳の取り寄せなど)
- 財産目録を添付する
司法書士からのアドバイス
共有型リゾート会員権のように、登記が関わる財産を遺言書で指定する場合には、表現の違いが大きな影響を及ぼします。
「誰に何を遺すか」だけでなく、「どう書けば、確実に遺言の内容が実現されるか」を考慮して作成することが非常に重要です。
遺言書の作成は一生に一度の大切な作業です。
形式を満たすだけではなく、確実に効力が発揮される内容にするためにも、専門家である司法書士にご相談いただくことを強くおすすめします。
遺言書の作成をご検討されている方は、ぜひお気軽に当事務所までご相談ください。具体的な手続きについて丁寧にご案内いたします。
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